シェアサイクルから見る中国人の心意気
〇シェアサイクルの便利さは想像以上
中国のシェアリングエコノミーを語る上で欠かせない存在なのが「自転車」ですよね!僕も毎日3回以上(出勤、外出、退勤)は乗っているので間違いなくヘビーユーザーの一人です。僕の約2年間にわたるライド履歴をご覧に入れましょう!
正直自分でもビックリしました…。3539kmって日本列島縦断できるレベルですよねw。約2年間お世話になっているので、3539km÷730日=4.8km/日。それなりの距離を日々快走していることが分かりますね笑。まぁ、たまに地下鉄に乗らないで自転車で帰宅したりすることもありますしね。あとは飲み会で終電を逃した時などもありがたい存在です。上記写真は僕が使用頻度の高いMobikeの履歴なので、後述するofoや哈罗单车(ハローダンチャー)を加えると、3539kmの1.5倍くらいの数字が実情に近いと思われます。
わずか3~4年ほど前に誕生し、一時は群雄割拠の様相を呈したシェアサイクル市場も、上海では大分淘汰が進んで今では3社(実質2社)のみが生き残っている状況です。上海におけるランキング(独断と偏見による)を発表しますね。料金は各社いずれも18元(約130円)~/月です。(安いっ!)
〇1位:哈罗单车(ハローダンチャー)
青色で、解錠すると「ハロ~♪」の声とともに可愛らしい音楽が流れるのが特徴。車体にもよりますが、こぎ易いものが最も多いと思います。ジャック・マー会長で有名なアリババが出資しており、専用のアプリをダウンロードしなくても支付宝(ジーフーバオ、Alipayの意味)の画面から直接利用できるのも便利です。アリババがバックにいるので、倒産の心配もないと個人的には思っています(これは意外と大事)。市内における自転車の数はMobikeより若干少ないと思われます。
〇2位:Mobike(モバイク)
橙色で、車体は4種類ほどありますがメインは上記の2つです。ちなみに2枚目のものは半年ほど前(2018年秋頃)に新たに投入された新型です。サドル調整が簡単で、カゴが比較的深めなのが便利です。上記2つの車体であれば比較的こぎ易いです。一時期経営難がささやかれていましたが、2017年にTencent(騰訊)から10億ドルを調達し、2018年には美団点評(メイトゥアン、ネットデリバリー大手)に売却されたため、しばらくは問題ないかと思われます。市内における自転車の数は恐らく最大です。
〇3位:ofo(オッフォ)
2014年に北京大学の大学院生が創業し、シェアサイクル市場において一時期は圧倒的な存在感を誇っていたofo。僕が上海に来た2年前にはとてもお世話になっていました。…がしかし、凋落が激しく今では正直一切の利用価値がありません。
まず自転車の数が圧倒的に少ないことに加え、長らく保守点検がなされていないために故障率が非常に高いです。チェーンが外れていたり鍵が開かなかったり、錆び付いていてこぎにくかったりと、ストレスが非常に大きいです。長らく経営難が叫ばれていましたが、僕は応援の想いも込めて解約していませんでした。ですが最近の状況はあまりにも目に余るものがあるので意を決して解約。がしかし未だに200元(約3,300円)のデポジットは返金されていません。1500万人待ちの状態です…w
〇シェアサイクルのピークは過ぎ去ったのか!?
日本の一部報道(例えばhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/10443など)を見ていると、シェアサイクルの時代は過ぎ去ったといった論調が少なからずあるように見受けられます。下記のようなインパクトのある写真も引用され、真に受ける方も多いのではないでしょうか。
ですが上述した通り僕は今でもヘビーユーザーで、Mobikeと哈罗单车とはずぶずぶの関係ですし、なくなったら非常に困り果ててしまうほどです。上海市内であれば、道を歩いていればそこまで困ることなく探し当てられる位の数は現在でも供給されているのが実情です。乗り捨てられるのが最大の特徴なので、車体は雨風に晒されますし、粗悪に扱う悪質なユーザーも一部いるとは思うので保守点検は簡単なことではないと思いますが、一消費者としては今後も頑張ってほしいというのが純粋な思いです。
〇日本も学ぶべきことはある
シェアサイクルは日本にも上陸し話題となりましたが、結局規制という名の分厚い壁の前に撤退を余儀なくされましたよね。そして一部報道では「中国でもシェアサイクルの時代はもう終わり」だとはやし立てる。僕は失敗を取り上げてこき下ろすよりも、その果敢なビジネススタイルをこそ日本人は謙虚に学ばなくてはならないと思います。挑戦し、多くの失敗を通じて研鑽を重ねていく中国と、規制に阻まれて挑戦しづらく、そもそも失敗することが少ない日本。意見は色々あると思いますが、日本でイノベーションが起きづらいのはこうした部分に起因するのではないでしょうか。日本と中国がお互いに学び合い、補い合う。そんな理想的な関係になれたら最高ですよね。